Marshmello Ft. Khalid(マシュメロ フーチャリング カリード)『Silence(サイレンス)』

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疲弊した人間があきらめと共に最後に取る手段は「THE 沈黙」。

2017年11月7日号のbillboard The HOT100 第44位(10週チャートイン・最高位 第42位)

2017年10月27日分 UK Official Singles Chart Top100 第3位(11週チャートイン 最高位 第3位)

【追記】12/30号 billboard The HOT100 第30位までランクアップ。



今回は、抜け感のあるメロディと歌詞を熟読すると予想以上に深いと感じた、Marshmello Ft. Khalid(マシュメロ フーチャリング カリード)の『Silence(サイレンス)』をおすすめします。




ボーカルを務めているカリードは、現在大活躍中のR&Bシンガー。


今年3月に発売されたアルバム『American Teen』から『Location』、『Young Dumb & Broke』、そしてこちらでも過去記事で取りあげたLogic(ロジック)とのコラボ曲『1-800-273-8255』がビルボードチャートの上位にランクイン。


特にアルバム『American Teen』は2017年度のベストアルバムに選ばれるのではないかと、ローリング・ストーン誌も予想しているほど。


しかも貫禄があるのに、まだ19歳とは驚き!(2017年10月現在。)


一方で、マシュメロは覆面EDMプロデューサー、もしくはDJとして活躍し、特にリミックスセンスが評価されています。
代表的なのが、Jack Ü(ジャック・ユー)がJustin Bieber(ジャスティン・ビーバー)とコラボした『Where Are Ü Now』でしょうか。


いつもマシュマロヘッドともいわれるマスクを被っているようですが、最近正体がバレたとかバレないとか・笑。
MVにもその格好で現れています。




なぜ彼は沈黙を選んだのか。

タイトルの『Silence』には「静けさ」や「沈黙」という意味がありますが、どういった類いのサイレンスなのかに着目したいところ。


1番の歌詞の始まりは、
Yeah, I’d rather be a lover than a fighter
(僕は戦士よりも恋人になりたい)
‘Cause all my life, I’ve been fighting
(人生のすべてにおいて ずっと闘い続けてきたから)
Never felt a feeling of comfort
(快適な感情なんて感じたことないよ)
All this time, I’ve been hiding
(ずっと隠れていたんだから)
And I never had someone to call my own, oh nah
(誰も僕を望まなかったし)
I’m so used to sharing
(分け合うのにも慣れたんだ)
Love only left me alone
(愛だけが僕に干渉しなかった)
But I’m at one with the silence
(でも僕は一人で沈黙と共にいる)



「call one’s own」には「所有する」という意味があり、「誰かにとって特別な存在になる」という解釈になります。
なので、「I never had someone to call my own」を直訳すると「僕を所有する誰かがいたことがない」、つまり「特別な存在になってほしいと誰からも望まれたことがない」といったニュアンスです。


また、「I’m at one with the silence」には、「静けさの中にいても平気、沈黙が気にならない」というニュアンスがあるので、この歌詞の主人公も「今まで色々あったし、むしろ静かなぐらいでちょうどいい」ぐらいの気持ちを表現しているようです。


続くサビでは、
I found peace in your violence
(君の凶暴さの中に平和を見つけたよ)
Can’t tell me there’s no point in trying
(挑戦が無駄だなんて 誰にも言えないさ)
I’m at one, and I’ve been quiet for too long
(僕は僕で あまりにも長くおとなしかったんだ)

と繰り返されます。


そして2番は、
I’m in need of a savior, but I’m not asking for favors
(僕は救世主を必要としているけど 頼み事をお願いしている訳じゃない)
My whole life, I’ve felt like a burden
(人生でずっと重荷のようなものを感じてきた)
I think too much, and I hate it
(考えすぎると嫌になる )
I’m so used to being in the wrong, I’m tired of caring
(僕は間違っていることにとても慣れ 気遣うのに疲れたんだ)
Loving never gave me a home, so I’ll sit here in the silence
(愛することは決して僕に安らぎを与えなかったし ここで僕は沈黙と共に座るよ)

と歌われ、サビは上記と同じ歌詞です。




「沈黙は金」を心の片隅に置いている、さとり世代ソング?!



この歌詞の世界観はMVを見ると分かりやすいと思うのですが。


例えば、口論している両親を横目に、罵る言葉が聞こえないようヘッドホンを装着する少年が出てきます。
我を忘れて冷静さを失っている人々を見ると、見ているこちら側の感情が引いてしまって物事がよく見えてくることってあると思うのですが。
恥ずかしい人々に辟易する気持ちや、誰にも期待しない諦めをひっくるめて、閉口するという意味での『Silence』をこの歌では表現しているのではないかと思います。


サウンドは、マシュメロの得意技であるエコーを効果的に使っていて。
歌詞だけ見ると結構シリアスなのに、力が抜けているからか、聴いていて疲れない。
そして、何よりカリードの歌声が心地良い。


ま、日常って小さなあきらめの連続でもあり、言っても分からない人には分からないし、理不尽な出来事も多く、沈黙してしまった方が余計なエネルギーを使わなくて済む。
そんなちょっとしたやるせなさをダークになりすぎずに歌っている印象も受けます。


あとは、やはりロマンスや愛情に関してあまり期待値が高くなく、なるべく平穏に生きたい心情が垣間見える点では、さとり世代に通じるものがあるなぁと思ったり。
もしかしたら世界的にこうした志向が強いからこそ、ヒットしているという面もあるのかもしれないですね。


ただ、MVには救いがあって。
『Silence』を選んだ人々に素敵なギフトを贈る微笑ましいマシュメロとカリードがいます。




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