Luke Combs(ルーク・コムズ)『Fast Car(ファースト・カー)』

スポンサーリンク

あなたとなら生まれ変われる気がした。

2023年10月7日号のbillboard The HOT100 第3位(27週チャートイン 最高位第2位)

今回はまるで短編小説のような歌詞とアコースティックなサウンドが落ち着くLuke Combs(ルーク・コムズ)の『Fast Car(ファースト・カー)』をおすすめします。

Luke Combs(ルーク・コムズ)のバイオグラフィーが気になる方は、過去記事をご覧ください。




回想と現在をまじえた秀逸な歌詞

楽曲のタイトル「Fast Car」は「速い車」という意味ですが、どのようなモチーフとして歌われているのでしょうか。

歌詞をすべて和訳してみます。

You got a fast car
(あなたは速い車を手に入れた)
And I want a ticket to anywhere
(私はどこにでも行けるチケットが欲しくて)
Maybe we make a deal
(多分 私達は取引できるし)
Maybe together we can get somewhere
(私達は一緒にどこかへ行けるのかもしれない)
Any place is better
(どんな場所もここよりはマシ)
Startin’ from zero, got nothin’ to lose
(ゼロから始まる 失うものは何もない)
Maybe we’ll make something
(多分 私達なら何かできるかも)
Me, myself, I got nothin’ to prove
(私や私自身を 何も証明するものなどなかった)




You got a fast car
(あなたは速い車を手に入れた)
And I got a plan to get us out of here
(ここから脱出する計画をして)
I’ve been workin’ at the convenience store
(私はコンビニで働き続けている)
Managed to save just a little bit of money
(ほんの少しのお金を貯めようと頑張ってる)
Won’t have to drive too far
(そんなに遠くに行かなくても大丈夫)
Just across thе border and into the city
(ただ国境を越えて 街に入って)
And you and I can both get jobs
(あなたも私も仕事を得られる)
Finally see what it mеans to be livin’
(ついに生きるということが何を意味するのかを知った)

See, my old man’s got a problem
(分かってる 私の祖父が問題を抱えているって)
He live in the bottle, that’s the way it is
(お酒ばかり飲んで 仕方がないの)
He said his body’s too old for working
(彼は言った 働くには年老いすぎたと)
His body’s too young to look like his
(彼の体はそんな風になるには若すぎるのに)
So Mama went off and left him
(だからママは彼を置いて去って行った)
She wanted more from life than he could give
(彼女は彼が与えてくれたものよりも実りある人生を欲していた)
I said, “Somebody’s gotta take care of him”
(私は言った 「誰かが祖父の面倒を見なきゃ」って)
So I quit school and that’s what I did
(だから学校を辞めたの)




You got a fast car
(あなたは速い車を手に入れた)
Is it fast enough so we can fly away?
(私達がどこかに飛んでゆくには充分なぐらい速いのかしら?)
Still gotta make a decision
(まだ決断しなくてはならない)
Leave tonight or live and die this way
(今夜出発するのか こんな方法で生きながら死ぬのか)




So I remember when we were driving, driving in your car
(だから私達がドライブしていた時を あなたの車でドライブしていた時を思い出す)
Speed so fast, I felt like I was drunk
(ものすごい速さで 酔っぱらってしまったように感じた)
City lights lay out before us and your arm felt nice wrapped around my shoulder
(街の明かりが目の前に広がって あなたの腕が私の肩を包んでくれて心地よかった)
And I had a feeling that I belonged
(そして自分の居場所はここだと感じた)
I had a feeling I could be someone, be someone, be someone
(私は誰かになれる 誰かになれる 誰かになれる気がしたの)

You got a fast car
(あなたは速い車を手に入れた)
We go cruising, entertain ourselves
(クルージングへと旅立ち 私たち自身をもてなすの)
You still ain’t got a job
(あなたはまだ仕事に就いていないから)
So I work in the market as a checkout girl
(私が食料品店でレジ係として働く)
I know things will get better
(事態は良くなるって分かってる)
You’ll find work and I’ll get promoted
(あなたは職を見つけて 私は昇進するの)
And we’ll move out of the shelter
(そしてシェルターから移り住めるでしょう)
Buy a bigger house, live in the suburbs
(もっと大きな家を買って 郊外に住むの)




So I remember when we were driving, driving in your car
(だから私達がドライブしていた時を あなたの車でドライブしていた時を思い出す)
Speed so fast, I felt like I was drunk
(ものすごい速さで 酔っぱらってしまったように感じた)
City lights lay out before us and your arm felt nice wrapped around my shoulder
(街の明かりが目の前に広がって あなたの腕が私の肩を包んでくれて心地よかった)
And I had a feeling that I belonged
(そして自分の居場所はここだと感じた)
I had a feeling I could be someone, be someone, be someone
(私は誰かになれる 誰かになれる 誰かになれる気がしたの)




You got a fast car
(あなたは速い車を手に入れた)
I got a job that pays all our bills
(私は請求書すべてを払えるぐらいの仕事を得た)
You stay out drinking late at the bar
(あなたはバーで夜遅くまで飲み続けている)
See more of your friends than you do your kids
(我が子よりも友達と会う方が多い)
I’d always hoped for better
(いつも良くなることを望んできた)
Thought maybe together you and me would find it
(あなたと私なら多分一緒に見つけるだろうと思っていた)
I got no plans, I ain’t goin’ nowhere
(計画もなく 行くあてもない)
Take your fast car and keep on driving
(あなたの速い車に乗って 運転し続ける)

So I remember when we were driving, driving in your car
(だから私達がドライブしていた時を あなたの車でドライブしていた時を思い出す)
Speed so fast, I felt like I was drunk
(ものすごい速さで 酔っぱらってしまったように感じた)
City lights lay out before us and your arm felt nice wrapped around my shoulder
(街の明かりが目の前に広がって あなたの腕が私の肩を包んでくれて心地よかった)
And I had a feeling that I belonged
(そして自分の居場所はここだと感じた)
I had a feeling I could be someone, be someone, be someone
(私は誰かになれる 誰かになれる 誰かになれる気がしたの)




You got a fast car
(あなたは速い車を手に入れた)
Is it fast enough so we can fly away?
(私達がどこかに飛んでゆくには充分なぐらい速いのかしら?)
Still gotta make a decision
(まだ決断が残ってる)
Leave tonight or live and die this way
(今夜出発するのか こんな方法で生きながら死ぬのかを)




1988年リリース、トレイシー・チャップマンのカバー曲

和訳を読んで下さった方の中には「なぜ男性が歌っているのに女性口調なの?」と思われたかもしれません。

実はこの楽曲はTracy Chapman(トレイシー・チャップマン)という女性シンガソングライターが1988年にリリースし、大ヒットさせた名曲。

聴き比べてみると、トレイシー・チャップマンの方が優しく繊細なサウンドに冷静で落ち着いた歌声が重なり、とても切ない感じがします。

テンポも速いので、どこか彼との関係を清算したような潔さすらも感じられる気が。

一方で今回紹介したルーク・コムズの方は、少しゆっくりとしたテンポなのでよりストーリーテリングのような楽曲になっているのではないでしょうか。

ルークのどっしりとした渋い歌声は、この女性の夢が砕けてしまった諦観に近い心理を勇気づけるように、または幸運不運をひっくるめて彼女の人生を真正面から見据えるかのように歌い上げてくれている印象も受けます。

貧困の連鎖、ヤングケアラー、ホームレスなどといった背景が描かれ、決して幸せな内容ではありませんが。

アコースティックギターの温かみがある素朴なサウンドが癒してくれる作用もあり、何度聴いても歌の世界に引き込まれてしまう素晴らしい一曲です。







スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする