僕らが離れないように、君の涙も、激しい川の流れも止めたいよ。
2015年3月23日付 The Official UK Singles Chart 第4位(17週チャートイン・最高位 第3位)。
今日は、上位で長くチャートインしているイギリスの新進気鋭のシンガーソングライター、James Bay(ジェームズ・ベイ)『Hold Back the River(ホールド・バック・ザ・リバー)』を紹介してみます。
この歌を、最初に聴いたのはBBCラジオでしたが。
落ち着いた世界観を持つこの歌をまさかこんなに若くて、カッコイイ男性が歌っているとは思わずビックリ!
イギリスは最近、Ed Sheeran、Jake Bugg、Ben Howardといい、才能豊かなシンガーソングライターの躍進がめざましいですね。
この歌は、どういう理由でかは分かりませんが、自分の元を離れようとしている恋人に「そばにいてほしい」と懇願する歌のように思えます。
曲のタイトルにもなっている「Hold Back The River」は直訳すると「川をせき止める」という意味ですが、スラングとして何かハプニングが起きた時に止めさせるような感じで使うみたい。
なので、繰り返されるサビの歌詞は、
Hold back the river, let me look in your eyes
(泣かないで 君の瞳を見つめさせて)
Hold back the river, so I Can stop for a minute and be by your side
(泣かないで しばらく立ち止まって君のそばにいるから)
Hold back the river, hold back
(泣かないで 泣かないで)
と、瞳に涙がたくさん溜まっている様子を表していると言えそうです。
ただ、歌詞の途中には、
Once upon a different life
(むかしむかし 今とは違う人生を歩んでいた時)
We rode our bikes into the sky
(僕らは空に向かって自転車をこいだ)
But now we’re caught against the tide
(今は潮にのみこまれそうだよ)
Those distant days all flashing by
(遥かなる日々が流されてゆく)
Lonely water, lonely water,
(孤独な流れよ 孤独な流れよ)
Won’t you let us wander?
(僕らを翻弄するつもりなのか?)
と川にまつわる「潮」や「流れ」がモチーフとして出てきます。
なので、個人的には、このこらえている涙が川に例えられつつ、二人の間を引き離す障害として描かれている印象を受けます。
涙と川、どちらの視点からもせき止めたい一心なのですね。
そんな切実な願いが、最初は静かなため息のようなサウンドから始まり、徐々に力強い演奏に付随して、まるで川の流れに逆らおうとするようにジェームズ・ベイの歌声も大胆になってゆくのです。
ただ、この歌の真相、ロマンチックな歌ではなくて。
どうやらミュージシャンとしての活動が忙しくなって、友人たちとなかなか会えなくなってしまったのがつらく。
「誰かこの忙しさを止めて!」って気持ちでソングライティングしたみたい(笑)。
ジェームズ曰く、「ちょっと違ったタイプのラヴソングだよ。」だって。
参照元:ジェイムス・ベイ「ただ感動して欲しい。音楽に必要なのはそれだけだ」
実は、ジェームズ・ベイは、デビューアルバムを発売したばかり。
その先行シングルが、この『Hold Back the River』なのです。
影響を受けたミュージシャンが、エリック・クラプトンでもあるため、ギタリストとしても注目されている彼。
MVでも、赤いグレッチのギターと共に素晴らしい存在感を放っています。
瑞々しい感性と渋さを併せ持つ、ジェームズ・ベイ、これからが楽しみです。