Kendrick Lamar, SZA(ケンドリック・ラマー、シザ)『All The Stars(オール・ザ・スターズ)』

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過去の歴史を含め、常に立ち向かってきた黒人のすべてを称える歌。

2018年3月3日号のbillboard The HOT100 第7位(7週チャートイン 最高位 第7位)

2018年3月2日分 UK Official Singles Chart Top100 第7位(8週チャートイン 最高位 第5位)



今回は、私が語るには言葉がないとしかいいようがない。
けれども、メロディはとてもキャッチーで何度聴いても居心地の良さを感じてしまう、Kendrick Lamar, SZA(ケンドリック・ラマー、シザ)の『All The Stars(オール・ザ・スターズ)』をおすすめします。




まずは二人のバイオグラフィーを簡単にご紹介。

Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)は、楽曲のヒットのみならず、模範的な人柄で今最も尊敬を集めているラッパーだと言えるのではないでしょうか。
(※とはいえ、彼も色々な波紋を呼んでしまったりして苦悩しているのですが。)

カリフォルニア州コンプトン出身で現在30歳(2018年3月現在)。

コンプトンといえばDr.DreやIce Cubeなどによってギャングスタ・ラップというジャンルが確立されてしまうほどの犯罪多発地域でありギャング抗争が日常茶飯事。

彼自身の認知度が上がったのも、セカンドアルバム『Good Kid, M.A.A.D City』で、自分が育ったコンプトンで一般庶民の一人として目にした残酷な光景を題材にしたもの。

しかし、彼の中にただ悲惨さを伝えるだけで終わらせるのではなく、ドラッグなども含め犯罪に手を染めてしまわないよう啓発してゆく志が芽生えてゆくのです。

ここでは割愛させていただきますが、ケンドリック・ラマーの生き方に興味が湧いた方は、以下が参考になると思います。
丁寧にひとつにまとめてあり、私も思わず読み入ってしまいました。
これで丸分かり!去年からシーンを沸かし続けているケンドリック・ラマーとは?

そして、SZA(シザ)といえば、このブログでも取り上げましたが、昨年Maroon 5とコラボした『What Lovers Do(ホワット・ラヴァーズ・ドゥ)』のヒットが記憶に新しいですよね。

今年1月に開催されたグラミー賞では、最優秀新人賞や『Ctrl』で最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバムにノミネートされたりと大活躍です。




対立するのではなく、愛を語ろうと試みるケンドリックとシザ

この楽曲、『All The Stars(オール・ザ・スターズ)』は、アメリカのコミック実写版映画、マーベル映画とも言ったりしますが、『Black Panther(ブラック・パンサー)』からのインスパイアアルバムとしてリリースされたもの。

そしてこの『All The Stars』は、映画のフィナーレを華々しく飾り、ユニバースを感じられる壮大な歌です。

歌詞を和訳してゆくと、その世界を感じられると思います。



[Pre-Chorus: Kendrick Lamar]
Love, let’s talk about love
(愛 さあ愛について話そう)
Is it anything and everything you hoped for?
(それはお前が望む何かであり すべてなのかい?)
Or do the feeling haunt you?
(それともお前に絶えずつきまとう感情なのかい?)
I know the feeling haunt you
(お前を悩ませてる感情だって俺は知ってる)


[Chorus: SZA]
This maybe the night that my dreams might let me know
(私の夢が知らせてくれるのは今夜かもしれない)
All the stars are closer, all the stars are closer, all the stars are closer
(すべての星が近づいて すべての星が近づいて すべての星が近づいて)
This maybe the night that my dreams might let me know
(私の夢が知らせてくれるのは今夜かもしれない)
All the stars are closer, all the stars are closer, all the stars are closer
(すべての星が近づいて すべての星が近づいて すべての星が近づいて)


[Verse 1: Kendrick Lamar]
Tell me what you gon’ do to me
(お前が俺に何をするつもりなのか 教えてくれよ)
Confrontation ain’t nothin’ new to me
(対立なんて俺にはもう目新しいものじゃない)
You can bring a bullet, bring a sword
(弾丸や剣を持っておいでよ)
Bring a morgue, but you can’t bring the truth to me
(遺体安置所も でも俺への真実は持って来れないだろう)
Fuck you and all your expectations
(お前の期待なんてクソくらえさ)
I don’t even want your congratulations
(お前からの祝福さえも欲さない)
I recognize your false confidence and calculated promises all in your conversation
(お前のは偽りの自信だって認識してるし 会話の中ですべて打算的に計算してるんだろ)
I hate people that feel entitled
(何でもタイトルをつけたがる奴らが大嫌いなのさ)
Look at me crazy ‘cause I ain’t invite you
(俺をクレージーだと思ってるんだろ お前を招待しないから)
Oh, you important?
(それがなんだっていうのさ)
You the moral to the story, you endorsing?
(お前は物語への良識なのか それとも何かの支持者なのか?)
Motherfucker, I don’t even like you
(クソッタレ そんなお前なんて嫌いだ)
Corrupt a man’s heart with a gift
(ギフトと共に俺たちの心を腐らせる)
That’s how you find out who you dealin’ with
(お前が慕っている人間がどんな奴かが分かるはずさ)
A small percentage, who I’m building with
(俺を形成しているのは少数派)
I want the credit if I’m losing or I’m winning
(負けても買っても 俺は信用が欲しいのさ)
On my momma that’s the realest shit
(ママ これが現実の中の現実)
※「momma」は元の意味はお母さんですが、スラングでセクシーで魅力的な女性という意味。
ここではどこか崇高な女性、女神のようなニュアンスで使われていると感じます。


[Pre-Chorus: Kendrick Lamar]
Girl, let’s talk about love
(ガール 愛について話そう)
Is it anything and everything you hoped for?
(それはお前が望む何かでありすべてなのかい?)
Or do the feeling haunt you?
(それともお前に絶えずつきまとう感情なのかい?)
I know the feeling haunt you
(お前を悩ませてる感情だって俺は知ってる)


[Chorus: SZA]
This maybe the night that my dreams might let me know
(私の夢が知らせてくれるのは今夜かもしれない)
All the stars are closer, all the stars are closer, all the stars are closer
(すべての星が近づいて すべての星が近づいて すべての星が近づいて)
This maybe the night that my dreams might let me know
(私の夢が知らせてくれるのは今夜かもしれない)
All the stars are closer, all the stars are closer, all the stars are closer
(すべての星が近づいて すべての星が近づいて すべての星が近づいて)






[Verse 2: SZA]
Skin covered in ego
(エゴに覆われた肌)
Get to talkin’, I get involved, like a rebound
(リバウンドのように 私は巻き込まれて話さなくてはならないのね)
No control, no off switch in the way that you bringing me down
(制御不能 私を落ち込ませるものへの電源スウィッチはなく)
It’s a turn on, get it away from me
(下手に興奮させるものは私から遠ざけるの)
Know you mean wrong, keep away from me
(あなたが間違ってるなら 自分から遠ざけるわ)
And it’s all wrong, get it away from me, yeah
(すべて間違ってるなら すべて私から遠ざけるわ)
I just cry for no reason, I just pray for no reason
(私はただ理由もなく泣いて 祈って)
I just thank for the life, for the day, for the hours and another life breathin’
(人生に一日に毎時間に別の人生の息吹に感謝して )
I did it all ‘cause it feel good
(全部やったら 気分が良くなるの)
You could live it all if you feel bad
(もし居心地が悪いなら そういうのと一緒に生きてゆくのも悪くない)
Better live your life
(あなたの人生をより良く生きて)
We are running out of time
(私たちには時間がないんだから)


[Pre-Chorus: Kendrick Lamar & SZA]
Love, let’s talk about love
(愛 さあ愛について話そう)
Is it anything and everything you hoped for?
(それはお前が望む何かでありすべてなのかい?)
Or do the feeling haunt you?
(それともお前に絶えずつきまとう感情なのかい?)
I know the feeling haunt you
(お前を悩ませてる感情だって俺は知ってる)


[Chorus: SZA]
This maybe the night that my dreams might let me know
(私の夢が知らせてくれるのは今夜かもしれない)
All the stars are closer, all the stars are closer, all the stars are closer
(すべての星が近づいて すべての星が近づいて すべての星が近づいて)
This maybe the night that my dreams might let me know
(私の夢が知らせてくれるのは今夜かもしれない)
All the stars are closer, all the stars are closer, all the stars are closer
(すべての星が近づいて すべての星が近づいて すべての星が近づいて)



こうして歌詞を読んでゆくと、ケンドリックが葛藤を歌っていて、シザがつきまとう邪念を追い払い、どうにか希望を信じようとしているような印象を受けますね。




黒人が耐え忍んできた歴史と築いてきたカルチャーや精神性を称えるブラック・エクセレンスな歌。

この『All The Stars(オール・ザ・スターズ)』、実は黒人が持つ素晴らしさ、ブラック・エクセレンスを称えている歌のようです。


MVを見ていただくと解りやすいと思うのですが、黒人が立ち向かってきた悲惨でありながら忘れがちな奴隷の歴史を含め、自分たちがこれまで築いてきた歌やファッションなどの文化やどんな時代も屈しなかった精神性を称え、古代にさかのぼって黒人として生きた人と分かち合う、そんな思いを歌に込めているようです。


例えば、MVの始まりはケンドリックがまるでモーゼのように、舟を漕いで黒人の民衆の前に現れるのですね。
このシーンで奴隷制度の歴史があったエジプトも彷彿させます。


でもこの歌の魅力は、やっぱりサビの部分を伸びやかに歌うシザだと私は感じます!
MVでも散りばめられた星の中で、シザが美しいドレスに身をまとって歌う姿がとても素敵です。











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